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メキシコの唐辛子ガイド:種類・辛さ・使い方
食材

メキシコの唐辛子ガイド:種類・辛さ・使い方

2026年1月22日13 分で読めます(更新日: 2026年9月11日)

マイルドなアンチョから激辛のハバネロまで。メキシコの代表的な唐辛子の風味、辛さ、料理での使い方、乾燥唐辛子の下ごしらえと保存方法をまとめて解説します。

唐辛子は、メキシコ料理を決定づける食材です。メキシコには数多くの品種があり、それぞれ風味、辛さ、料理での使い道が異なります。唐辛子がもたらすのは「辛さ」だけではありません。甘み、燻した香り、フルーティーさ、土のような香り、花のような香りなど、実に多彩です。メキシコ料理の中でも、もっとも奥深く魅力的な食材と言えるでしょう。このガイドでは、代表的な唐辛子を紹介し、自信を持って使えるようにお手伝いします。

乾燥唐辛子:サルサの土台

乾燥唐辛子は、生の唐辛子を乾燥させたものです。乾燥させることで風味が凝縮し、新しい香りも生まれます。サルサ、モレ(mole)、アドボ(adobo/漬け込みソース)の土台になります。

グアヒージョ唐辛子

風味:フルーティーでほんのり甘く、辛さはおだやか。グアヒージョ(guajillo)唐辛子は、メキシコでもっともよく使われる唐辛子のひとつです。

辛さ:★★☆☆☆(2,500〜5,000スコヴィル)。扱いやすく、ほとんどの人が食べられる辛さです。

見た目:長さ10〜15cmほどで細長く、皮はなめらかでツヤがあり、深い赤色をしています。

使い方:エンチラーダ(enchiladas)用の赤いサルサ、チラキレス(chilaquiles)のソース、肉のアドボ、アロス・ロホ(arroz rojo/メキシコ風トマトライス)など。乾燥唐辛子を1種類だけ買うなら、まずはこれがおすすめです。

料理例:赤いチラキレス、赤いエンチラーダ、テーブルサルサ。

入手方法:輸入食材店やオンラインショップで見つけやすい、もっとも手に入りやすい乾燥唐辛子のひとつです。

アンチョ唐辛子

風味:甘く深みがあり、レーズンやチョコレートを思わせる香り。アンチョ(ancho)唐辛子は、ポブラノ(poblano)唐辛子を乾燥させたものです。

辛さ:★☆☆☆☆(1,000〜2,000スコヴィル)。ほとんど辛くなく、風味を加える役割です。

見た目:幅が広く、しわが寄っています(anchoは「幅広い」という意味)。色は黒に近い濃い茶色です。

使い方:モレ・ポブラノ(mole poblano)の主役となる唐辛子です。モレ・ネグロ(mole negro)、甘めのアドボにも使います。生のポブラノは、詰め物料理に使われます。

料理例:モレ・ポブラノ、カルニータス(carnitas)用のアドボ。

コツ:とてもマイルドなので、ポタージュやスープにそのままミキサーで加えると、辛さを出さずに色と風味をつけられます。

チポトレ

風味:力強い燻製香と甘み、あとを引く中程度の辛さ。チポトレ(chipotle)は、赤く熟したハラペーニョを燻して乾燥させたものです。

辛さ:★★★☆☆(5,000〜10,000スコヴィル)。辛いけれど、多くの人が楽しめる範囲です。

見た目:しわが寄った茶色で、燻製の香りがはっきりしています。乾燥品のほか、缶詰のチポトレのアドボ漬け(chipotle en adobo)としても売られています。

使い方:スモーキーなサルサ、鶏肉や豚肉のアドボ、チポトレマヨネーズ、クリームソースなど。小さじ1杯加えるだけで、料理の印象が大きく変わります。

料理例:鶏肉のチポトレ煮込み、クリーミーなチポトレのサルサ、鶏肉のティンガ(tinga)。

入手方法:いちばん使いやすいのは缶詰のアドボ漬けです。輸入食材店やオンラインショップで探してみてください。1回に使う量が少ないので、1缶で長く楽しめます。

コツ:缶に残ったチポトレは、製氷皿で1本ずつ冷凍しておくと、必要な分だけ無駄なく使えます。

アルボル唐辛子

風味:まっすぐでクリアな辛さ。炒るとナッツのような香りが出ます。

辛さ:★★★★☆(15,000〜30,000スコヴィル)。かなり辛いので、量に注意しましょう。辛さの目安としては、日本の鷹の爪に近いイメージです。

見た目:長さ5〜7cmほどの小ぶりで細身、鮮やかな赤色です。

使い方:辛い赤のテーブルサルサ、タコス用のサルサ、唐辛子オイル、飾りなど。

コツ:アルボル(chile de árbol)唐辛子3〜5本を油をひかないフライパンで炒り(立ちのぼる蒸気が目にしみるので注意)、にんにく、塩、少量の酢と一緒にミキサーにかけます。これだけで、タコスにぴったりの辛いサルサの完成です。

パシージャ唐辛子

風味:土のような香りと心地よい苦み。カカオやハーブを思わせる風味があります。

辛さ:★★☆☆☆(1,000〜4,000スコヴィル)。マイルドです。

見た目:細長く、黒に近い濃い色。しわの寄った皮から、「小さなレーズン」を意味する名前がついたと言われています。

使い方:モレ・ネグロや色の濃いサルサに。パシージャ(pasilla)唐辛子は、アンチョ、グアヒージョと組み合わせると相性抜群で、モレづくりの「三本柱」と呼ばれることもあります。

ムラート唐辛子

風味:チョコレート、たばこ、湿った土を思わせる香り。ムラート(mulato)唐辛子も乾燥させたポブラノの一種で、より甘く色の濃いタイプです。

辛さ:★☆☆☆☆(500〜2,500スコヴィル)。とてもマイルドです。

使い方:アンチョ、パシージャと合わせてモレ・ポブラノに。色の濃いサルサにも使います。見つけにくい品種ですが、オンラインショップで取り寄せられることがあります。

生の唐辛子

セラーノ唐辛子

風味:青々としたハーブのような香りと、キレのある辛さ。

辛さ:★★★★☆(10,000〜25,000スコヴィル)。しっかり辛いです。

使い方:生のサルサ・ベルデ(salsa verde)、ピコ・デ・ガジョ(pico de gallo)、ワカモレに。セラーノ(serrano)唐辛子は、メキシコの日常の料理でもっともよく使われる生の唐辛子です。

代わりに使うなら:生のセラーノはなかなか手に入りません。辛さを補う目的なら、青唐辛子で代用できますが、香りは異なります。

ハラペーニョ

風味:青い香りとほのかな甘み。辛さには個体差があり、とても辛いものもあれば、ほとんど辛くないものもあります。

辛さ:★★★☆☆(2,500〜8,000スコヴィル)。中くらいの辛さです。

使い方:酢漬け(ナチョスやピザに)、詰め物料理、サルサ、細切りにした炒め物など。海外でもっとも知られたメキシコの唐辛子です。

入手方法:酢漬けの瓶詰めは比較的見つけやすく、生のものも時期によっては出回ることがあります。

豆知識:チポトレは、熟したハラペーニョを燻したものです。同じ唐辛子でも、加工の違いでまったく別の味になります。

ポブラノ唐辛子

風味:青い香りと土のような風味、ほのかな甘み。辛さはごく控えめです。大きく肉厚です。

辛さ:★☆☆☆☆(1,000〜2,000スコヴィル)。ほとんど辛くありません。

使い方:看板料理のチレ・レジェーノ(chile relleno)、ラハス(細切りのポブラノ唐辛子)のクリーム煮、チレス・エン・ノガダ(chiles en nogada)、タコスやケサディーヤ(quesadilla)の具など。

代わりに使うなら:生のポブラノはめったに手に入りません。大きめのピーマンを焼いて皮をむくと、同じではありませんが、肉厚な食感は近くなります。

ハバネロ

風味:マンゴーやパッションフルーツのような強いフルーティーさと花のような香り。そして、強烈な辛さ。

辛さ:★★★★★(100,000〜350,000スコヴィル)。非常に辛いので、扱いには細心の注意が必要です。

使い方:ユカタン(メキシコ南東部)の料理、ハバネロのサルサ、セビーチェなど。ごく少量で使います。

注意:切るときは手袋をしましょう。ハバネロ1個で大人数分のサルサが作れるほどの辛さです。切ったあとに目をこすると、何時間も痛みが続くことがあります。

入手方法:輸入食材店やオンラインショップで見かけることがあります。鉢植えで育てることもできます。

辛さの早見表

  • ほとんど辛くない:アンチョ、ムラート、ポブラノ → マイルドなサルサやモレに
  • やや辛い〜中辛:グアヒージョ、パシージャ、ハラペーニョ → テーブルサルサや日常の料理に
  • 中辛〜辛口:チポトレ、セラーノ、アルボル → 辛いサルサやアドボに
  • 激辛:ハバネロ → 上級者向け。ごく少量で

乾燥唐辛子の基本の使い方

  • 1. 下処理:片側を切り開き、種とワタを取り除きます。辛さの多くはここにあります。
  • 2. 炒る:油をひかないフライパンを中火で熱し、片面20〜30秒ずつ炒ります。少し色が変わり、香りが立てばOK。焦がすと苦くなるので注意しましょう。
  • 3. 戻す:熱湯ではなく、熱めのお湯に15〜20分浸け、やわらかくします。
  • 4. ミキサーにかける:にんにく、塩、戻し汁少量と一緒に攪拌します。
  • 5. こす:なめらかなサルサにしたいときはざるでこします。素朴な仕上がりにしたいときはそのままで。
  • 6. 炒める:フライパンに油を熱し、サルサを加えて混ぜながら5分ほど炒めます。このひと手間で、風味がぐっと深まります。

どこで買える?

  • 輸入食材店:品揃えが豊富なお店なら、乾燥唐辛子やチポトレの缶詰が見つかることがあります。
  • オンラインショップ:乾燥唐辛子、チポトレのアドボ漬け、ハラペーニョの酢漬けなど、種類を選びやすいのが魅力です。
  • 家庭菜園:ハラペーニョやセラーノ、ハバネロは鉢植えでも育てられます。暖かい季節に、1株からたくさんの実が収穫できます。

唐辛子の知識を実践してみたくなったら、まずはグアヒージョで作る赤いサルサから始めてみましょう。いちばん簡単で、使い回しのきくサルサです。そこから、唐辛子の世界がどんどん広がっていきます。

唐辛子の保存方法

唐辛子は、正しく保存することも使い方と同じくらい大切です。上手に保存すれば何か月も風味と辛さを保てますが、保存方法を誤ると数週間で台無しになってしまいます。

乾燥唐辛子:冷暗所で保存

アンチョ、グアヒージョ、パシージャ、アルボルなどの乾燥唐辛子は、涼しく乾燥した暗い場所での保存が基本です。密閉できる袋やガラス瓶に入れましょう。上手に保存すれば、半年から1年ほど持ちます。容器にローリエを1枚入れておくと、虫よけになるとも言われています。しなやかさがなくなってきたら、古くなってきたサインです。

生の唐辛子:冷蔵庫で上手に保存

生のハラペーニョ、セラーノ、ハバネロは、紙袋に入れて冷蔵庫で保存すると1〜2週間ほど持ちます。ビニール袋は湿気がこもるので避けましょう。長く保存したいときは、輪切りにしてバットに広げて冷凍し、凍ったら保存袋に移します。必要な分だけ取り出して使えて便利です。

アドボ漬け:冷凍がおすすめ

チポトレのアドボ漬けは、缶を開けたら別の容器に移して冷蔵し、早めに使い切りましょう。おすすめは、1本ずつ冷凍する方法です。製氷皿にチポトレを1本ずつソースと一緒に入れて凍らせ、凍ったら保存袋に移します。1キューブがだいたいチポトレ1本分。煮込みやマリネ、サルサに無駄なく使えます。

辛さの目安:スコヴィル値の実用ガイド

スコヴィル値を知っておくと、レシピや自分の好みに合った唐辛子を選びやすくなります。もっともマイルドなのはポブラノ/アンチョ(1,000〜2,000SHU)で、初心者にぴったりです。ハラペーニョとチポトレは中程度(2,500〜10,000SHU)で、しっかりした辛さを楽しみたい人に向いています。セラーノ(10,000〜25,000SHU)はさらに辛く、メキシコのサルサの定番です。アルボル(15,000〜30,000SHU)は、鷹の爪のようなストレートな辛さを加えます。そして頂点に立つのがハバネロ(100,000〜350,000SHU)。自分の限界がわかるまでは、ごく少量から慎重に使いましょう。

自分で唐辛子を育ててみよう

ハラペーニョ、セラーノ、ハバネロなどのメキシコの唐辛子は、日当たりのよいベランダの鉢植えでも育てることができます。種はオンラインの専門店などで手に入ります。室内で種をまいて苗を育て、霜の心配がなくなってから外に植え付けるのが基本です。よく手入れをした株は、ひと夏で数十個の実をつけることもあり、手作りサルサを長く楽しめます。

Edmond Bojalil
Edmond Bojalil

Recetas Mexas 創設者

メキシコ・プエブラ出身のITエンジニアで食べることが大好き。世界中の台所で作れるよう工夫した本格メキシコ料理のレシピを1,250品以上執筆。2018年からマドリード在住。

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