
メキシコのゴルディータ:地域ごとの具と甘いゴルディータ
ゴルディータは厚いトルティーヤを開いて具を詰める軽食で、地域によって姿が変わります。中央部のチチャロン、デュランゴの小麦粉、ラ・ビジャの甘いものまで紹介します。
ゴルディータとは
ゴルディータ(gordita)は文字どおり「ちょっと太った」トルティーヤです。ふつうのトルティーヤより厚いトウモロコシ生地をコマル(comal)で焼くか揚げるかして、ポケットのように片側を開き、煮込みを詰めます。上か中にはサルサ、チーズ、玉ねぎ、パクチー(香菜)、ときにはレタスやノパル(ウチワサボテン)を加えます。温かいうちに手で持って食べるもので、国内の多くの地域で、市場や大衆食堂や屋台の定番の軽食になっています。
メキシコの外でこの言葉を聞くとすれば、アメリカのファストフードチェーンくらいでしょう。そこではメキシコのゴルディータとはあまり関係のない商品にこの名前が使われています。本物のゴルディータはタコスでもアレパでもありません。後者に少し似てはいますが、ひとつの独立した料理で、しかも地域によって大きく変わります。しょっぱいものも甘いものも、トウモロコシのものも小麦粉のものも、コマルで焼くもの、揚げるもの、オーブンで焼くものもあります。
トウモロコシのゴルディータの作り方
いちばん一般的なトウモロコシのゴルディータは、ニシュタマル(アルカリ処理したトウモロコシ)で作るマサ(トウモロコシ生地)を使い、少しのラードと塩で風味を足すこともあります。生地を丸め、手かプレス器で1センチ弱の厚さにのばし、コマルで焼きます。熱が入ると生地がわずかにふくらみ、中で層が分かれます。そこで縁にナイフを入れて開き、具を詰めます。
大きく分けて2つの方法があります。
- コマル焼き。油をほとんど使わずに焼きます。いちばん軽い仕上がりです。
- 揚げ焼き。コマルで焼いたあと、あるいは最初から、油かラードで揚げ、外はカリッと中はやわらかく仕上げます。そのあと開いて具を詰め、中にライムとサルサを加えることもよくあります。
具を生地に練り込んだゴルディータもあります。よく知られているのは、細かくしたチチャロン(chicharrón/豚皮揚げ)やチチャロンのかけらを焼く前に生地に混ぜ込んだものです。ミガハス(チチャロンのかけら)入りゴルディータのレシピでその一例が作れます。
中央部の主役:チチャロン・プレンサードのゴルディータ
ゴルディータの伝統的な具といえば、チチャロンです。といってもおつまみとして食べるカリカリのものではなく、チチャロン・プレンサード(chicharrón prensado)のことです。豚の肉と脂の切れ端を煮てブロック状に押し固めたもので、これを赤か緑のサルサで煮込み、やわらかく味わい深く仕上げます。中央部のゴルディータの屋台ならほぼどこでも見かける具で、最初の一品としてよくすすめられます。
チチャロン・プレンサードのゴルディータのレシピを試してみてください。肉なしがよければ、豆、じゃがいも(メキシカンチョリソ入りでもなしでも)、ラハス(細切りのポブラノ唐辛子)とチーズ、あるいはとてもやさしい味で人気のあるリコッタに似たフレッシュチーズ(requesón)のゴルディータもあります。
中央部のゴルディータは小さく厚めで、こぶしくらいか、ふつうのトルティーヤほどの大きさです。一方、北部ではより大きく平たいものが多くなります。
北部とデュランゴ:小麦粉のゴルディータ
小麦粉のトルティーヤが毎日の食卓に並ぶメキシコ北部には、小麦粉のゴルディータもあります。特にデュランゴ州のものはよく知られています。小麦粉で作り、焼くと蒸気で小さなピタパンのようにふくらみます。それを開いて煮込みを詰めます。デュランゴで人気の具は、ここでもチチャロン・プレンサードのサルサ煮で、ほかに肉の煮込み、豆とチーズ、ラハスなどがあります。地元の資料によれば、デュランゴでは小麦粉のゴルディータは主にチチャロン・プレンサードと結びつき、トウモロコシのものはアシエントス(asientos)と合わせるそうです。アシエントスとは、チチャロンを揚げたあとに鍋の底に残る脂の多い残りかすのことです。
このタイプを知りたい方は、北部風の小麦粉のゴルディータを試してみてください。デュランゴやほかの地域には、楕円形でオーブンで焼き、豆やラハスを詰めるゴルディータス・デ・オルノ(gorditas de horno)もあります。
そのほかの地域のゴルディータ
ゴルディータはとても身近な料理なので、ほとんどの地域に独自のものがあります。知っておきたいものをいくつか挙げます。
- ケレタロ州。粗く砕いたトウモロコシで作る、ざっくりした食感の生地のゴルディータ(gorditas de maíz quebrado)で、揚げてからチチャロンやチーズなどを詰めます。
- バヒオ地方と中北部。レオンのような町では、土窯で焼くオーブン焼きのゴルディータが作られ、これにもチチャロン・プレンサードが入ることがあります。
- アグアスカリエンテス州。私たちのアグアスカリエンテス風の具だくさんゴルディータのレシピは、いくつもの煮込みから選べる屋台のスタイルを再現しています。
甘いゴルディータ:ナタ、砂糖、ラ・ビジャ
「ゴルディータ」という言葉は、しょっぱい軽食とはまったく関係のない、甘い小さなお菓子のこともいくつか指します。
ゴルディータス・デ・ナタ
ナタ(nata)とは牛乳を沸かしたときにできる脂肪の膜のことで、これに砂糖、シナモン、小麦粉を合わせ、コマルで焼いた、厚くふんわりした小さなパンケーキです。主に中央部と東部で、朝食やおやつにコーヒーやチョコレートと一緒に食べられています。地元では、イダルゴ州パチュカの守護聖人の祭りと結びつけて語られることもあります。ゴルディータス・デ・ナタのレシピはこちらです。
ゴルディータス・デ・アスーカル
似た生地で作る砂糖のゴルディータ(gorditas de azúcar)は、より薄くてサクサクしており、ほとんど平たいビスケットのようです。
ゴルディータス・デ・ラ・ビジャ
ゴルディータス・デ・ラ・ビジャ(gorditas de La Villa)は、カカワシントレ(cacahuazintle)という大粒のトウモロコシと砂糖で作る小さな甘いトルティーヤで、メキシコシティ北部のグアダルーペ寺院のまわりの通りで売られています。大きなコマルで焼かれ、色とりどりの薄紙に包んだ包みで売られていて、巡礼者ならすぐにそれとわかる光景です。教会の入口で売られていたことから「前庭のゴルディータ」とも、また、焼いている女性たちがやけどをしないように舌で指を湿らせてコマルの上で裏返していたと言われることから「つばのゴルディータ」とも呼ばれてきました。誰が考え出したのかはわかっていません。何世代にもわたって作り続けている家族もいて、12月12日のグアダルーペの聖母の祝日の前後には需要が一気に高まります。
家でゴルディータを作るには
- 生地。新鮮なマサか、マサ・アリーナ(masa harina/トウモロコシ粉)を使います。500gにつきラードか油を大さじ1、塩をひとつまみ加え、ひび割れのないなめらかな生地になるまでこねます。
- 厚さ。ゴルフボールくらいの大きさに丸め、厚さ5ミリほどにのばします。薄すぎると開かず、厚すぎると中が生焼けになります。
- コマル。中火で片面数分ずつ、きつね色の焼き色がついて少しふくらむまで焼きます。
- 熱いうちに開きます。小さなナイフで縁に切り込みを入れ、ポケットを作ります。好みで、その前に熱い油で1分ほど揚げても構いません。
- すぐに詰めます。熱々の煮込みを詰め、サルサ、チーズ、玉ねぎを加えて、すぐに出しましょう。
よくある質問
ゴルディータとソペはどう違うのですか?
ソペ(sope)は縁をつまんで立ち上げた厚い生地の台で、その上に具をのせます。ゴルディータは中を開いて、ポケットのように具を詰めます。
ゴルディータとアレパは同じものですか?
形は似ていますが、ゴルディータはアルカリ処理したトウモロコシのマサで作るのに対し、ベネズエラやコロンビアのアレパは、アルカリ処理をしていない調理済みのトウモロコシ粉で作るのが一般的です。味も食感も異なります。
チチャロン・プレンサードとは何ですか?
豚の肉と脂の切れ端を煮て、固いブロック状に押し固めたものです。サルサで煮込み、ゴルディータの伝統的な具として使います。
ゴルディータス・デ・ラ・ビジャには具が入っていますか?
入っていません。小さな甘いトルティーヤで、お菓子のようにそのまま食べます。
参考資料
- (Wikipedia「Gordita」)定義、焼き方、中央部と北部の違い、デュランゴの小麦粉のゴルディータ、ナタと砂糖のゴルディータ、伝統的な具。
- (Posta「Los 3 guisos de gorditas que debes comer al visitar Durango」「En estas presentaciones se venden las gorditas en Durango」)チチャロン・プレンサード、アシエントス、オーブン焼きのゴルディータ。
- (Líder Empresarial「Gorditas de horno, pruébalas」)レオン周辺のオーブン焼きのゴルディータ。
- (El Diario NY「Lo que tienes que saber sobre las tradicionales gorditas de nata mexicanas」)パチュカの守護聖人の祭りとの関わり。
- (The Mija Chronicles「Gorditas de maíz quebrado in Querétaro」)粗く砕いたトウモロコシのゴルディータ。
- (México Desconocido「Gorditas de la Villa, dulce tradición centenaria」、メキシコシティ政府のグスタボ・A・マデロ区ガイド、El Universal「Las gorditas de la Villa, herencia familiar」、Vice「Eating and praying on the day of Our Lady of Guadalupe」)カカワシントレ、薄紙の包み、昔の呼び名、家族の伝統、12月の需要。

Recetas Mexas 創設者
メキシコ・プエブラ出身のITエンジニアで食べることが大好き。世界中の台所で作れるよう工夫した本格メキシコ料理のレシピを1,250品以上執筆。2018年からマドリード在住。
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