
オアハカのメスカルの道:パレンケの訪ね方
オアハカ中央盆地のメスカルの道ガイド。パレンケ(伝統的な蒸留所)とは何か、訪ねたい村、メスカルの造り方と飲み方を紹介します。
オアハカはメキシコを代表するメスカルの産地で、そのパレンケ(伝統的な蒸留所)を巡る旅は、食べて飲むために旅する人にとって忘れがたい体験の一つです。定番ルートはオアハカ市から南東へ、中央盆地を横切る街道を進みます。その中心が、「世界のメスカルの都」を名乗るサンティアゴ・マタトランです。このガイドでは、メスカルの造り方、パレンケで見られるもの、組み合わせたい村、一日の過ごし方を説明します。
テキーラとの関係は末尾の「よくある質問」で、オアハカ全体の旅はプエブラとオアハカ、モーレの道でご覧ください。
メスカルとは?なぜオアハカなのか
メスカルは、ピニャと呼ばれるアガベ(リュウゼツラン)の芯を加熱し、蒸留した酒です。ブルーアガベだけで造るテキーラと違い、メスカルには多くの品種が使えます。最も広く栽培されているエスパディンのほか、トバラ、テペスタテ、アロケーニョ、クイシェなど、成熟に長い年月がかかる野生のアガベもあります。1994年から原産地呼称で保護され、その後対象の州が広がりましたが、生産量の大半はオアハカが占めています。
メキシコの規格は製法によって三つのカテゴリーに分けています。メスカル、メスカル・アルテサナル(手づくり)、メスカル・アンセストラル(伝統製法)で、最後のものは土鍋で蒸留します。ラベルには、熟成なしのブランコ、ガラス熟成、レポサド、アニェホのいずれか、そして使ったアガベの品種も記されています。
造り方:パレンケで見られること
パレンケの見学は、アガベがたどる道をそのまま追いかけます。
- 収穫(ヒマ):熟したアガベの葉を切り落とし、芯のピニャだけを残します。
- 加熱:地面を掘った円錐形の窯で、薪と焼いた石を使って何日もピニャを蒸し焼きにします。メスカルのスモーキーな個性はここから生まれます。
- 粉砕:加熱したピニャを、伝統的には馬やラバが引く石臼(タオナ)で、あるいは木槌で手作業でつぶします。
- 発酵:つぶしたアガベを水とともに木の桶に入れ、自然に発酵させます。
- 蒸留:銅の蒸留器か土鍋で、たいてい2回蒸留します。
最後に、マエストロ・メスカレロ(蒸留の親方)が試飲をすすめてくれることがよくあります。小さなカップやひょうたんの器で、ストレートを少しずつ飲むのが習わしで、オレンジと「虫の塩」を添えることもあります。一気に飲み干すものではありません。
メスカルの味わい方
パレンケでの試飲はたいてい気軽なものですが、何を見ればよいかを知っておくと楽しみが増えます。まず「真珠」と呼ばれる泡を見ます。瓶を振ったり高い位置から注いだりすると表面に小さな泡ができ、メスカレロたちは昔からこれをアルコール度数の目安にしてきました。次に、鼻を近づけすぎずにゆっくり香りをかぎます。アルコールが、加熱したアガベ、煙、土、果実、草の香りを隠してしまうことがあるからです。
口に含むときはほんの少しにして、飲み込む前に口の中で転がします。多くのメスカレロはこれを、メスカルに「キスする」と表現します。同じ造り手がエスパディンと野生種を出してくれることもあり、違いはすぐ分かります。野生のアガベは複雑な味わいのものが多く、希少なため値段も高めです。一杯ごとに水を飲み、オレンジの一切れやチャプリネスなど、何か口にしましょう。
蒸留方法についても尋ねてみてください。土鍋で蒸留したアンセストラルのメスカルは、銅の蒸留器のものとは口当たりも味も異なります。同じ日に両方を飲み比べるのは、とても役立つ実践的な勉強になります。
ルート:中央盆地の村々
サンティアゴ・マタトラン
ルートの中心です。村の入り口には「世界のメスカルの都」と掲げたアーチがあり、街道の両側に家族経営のパレンケが続きます。多くは予約なしで見学できますが、村の人と一緒に行くか、工程を説明してくれる組織されたツアーに参加するのがおすすめです。
トラコルラ・デ・マタモロス
道中のトラコルラには、中央盆地で最も古く大きな日曜のティアンギス(青空市)の一つがあります。メインストリートの数ブロックが通行止めになり、何百もの売り手が店を出します。メスカルのほか、テハテ、卵黄パン、チャプリネス、焼きたてのトルティーヤと一緒に出される赤いスープのヤギのバルバコアも。できれば日曜日に計画しましょう。10月には町独自のメスカル祭りも開かれます。
テオティトラン・デル・バジェとミトラ
テオティトランは天然染料で染めたウールのラグで、ミトラはサポテカの遺跡で知られています。どちらも同じ日に組み込みやすい立ち寄り先です。
イエルベ・エル・アグア
マタトランの先には、石化した滝イエルベ・エル・アグアがあります。かなりの寄り道になるので、組み込むなら早めに出発しましょう。
道中で食べるもの
パレンケ巡りの一日は、村の料理を味わう一日でもあります。盆地の市場や食堂では、トラユーダ、メメラ、黄色いモーレのエンパナーダ、黒いモーレ、タサホに出会えます。試飲の前にはしっかり食べておきましょう。メスカルは度数が高いお酒です。
街に戻ったら、メスカルのパロマや、果物を漬け込んだメスカル・クラードなどのカクテルを試し、最後にオアハカのチョコレートで締めくくりましょう。
いつ行く?
このルートは一年中楽しめます。7月はゲラゲッツァがあるので特別です。7月16日のあとの二度の月曜日に開かれ、オアハカ市内ではメスカルの見本市も行われます。一年を通じた催しは食の祭りカレンダーをどうぞ。
実用アドバイス
- 自分で運転しない:試飲を重ねるとアルコールがたまります。車を手配するか、ガイドツアーを利用しましょう。
- アガベについて尋ねる:野生のアガベは希少で、その採取は山に負担をかけます。よい造り手は、それぞれがどこから来たかを説明してくれます。
- パレンケで買う:生産者の家族を支えるいちばん直接的な方法です。自国のルールで何本まで持ち込めるか、事前に確認しましょう。
- ラベルを読む:カテゴリー(アルテサナルかアンセストラルか)、アガベの品種、造り手の名前を確認します。
よくある質問
メスカルの道にはどれくらい時間がかかりますか?
オアハカ市から丸一日あれば、パレンケ2〜3か所、トラコルラ、もう1か所に立ち寄れます。とても興味があるなら2日間とって、もっと遠くの村も訪ねましょう。
瓶の中の虫は伝統ですか?
比較的新しい商業的な習慣で、品質の証ではありません。伝統的な造り手は使いません。試飲に添えられる「虫の塩」で目にすることのほうが多いでしょう。
テキーラはメスカルの一種ですか?
歴史的にも技術的にもそうです。アガベの蒸留酒ですが、ブルーアガベだけを使い、ハリスコ州と周辺の州の限られた地域で、より工業的な工程で造られます。グアダラハラ、ハリスコとテキーラで詳しく紹介しています。
子ども連れでパレンケを見学できますか?
できます。加熱や粉砕の工程はとても見応えがあります。試飲はもちろん大人だけです。
参考資料
- スペイン語版ウィキペディア「Mezcal」(1994年の原産地呼称、NOM-070-SCFI-2016、カテゴリーと製法)、2026年10月25日閲覧。
- 英語版ウィキペディア「Tlacolula de Matamoros」(日曜市、バルバコア、テハテ、10月のメスカル祭り)。
- スペイン語版ウィキペディア「Guelaguetza」(日程と国際メスカル見本市)。

Recetas Mexas 創設者
メキシコ・プエブラ出身のITエンジニアで食べることが大好き。世界中の台所で作れるよう工夫した本格メキシコ料理のレシピを1,250品以上執筆。2018年からマドリード在住。
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