
ユカタンとマヤの料理:旅で食べたいもの
ユカタンの食の旅ガイド。コチニータ・ピビル、ソパ・デ・リマ、パヌーチョ、レジェーノ・ネグロ、メリダの市場、名物料理のある町、マヤの死者の祭りを紹介します。
ユカタン半島には、メキシコでも指折りの個性的な料理があり、中部の料理とはまるで違います。主役はアチオテ、ダイダイ(サワーオレンジ)、ハバネロ唐辛子、そしてレカードと呼ばれるスパイスペースト。さらにマヤから受け継いだ技法ピブがあります。地面に掘った窯で、コチニータや死者の日のタマルを蒸し焼きにするのです。メリダや内陸を旅するなら、このガイドで何を頼み、どこで見つけ、日程をどう割り振るかが分かります。
旅の全体計画はいつ行く?何日必要?を参考にしてください。
味わいたい料理
コチニータ・ピビル
コチニータ・ピビルは、アチオテの赤いレカードとダイダイの果汁に漬けた豚肉をバナナの葉で包み、伝統的にはピブでじっくり蒸し焼きにした料理です。タコス、トルタ(サンドイッチ)、皿盛りで食べ、紫玉ねぎの酢漬けとハバネロのサルサを添えます。ユカタンでは朝の料理で、とくに週末の朝食に食べられ、昼には売り切れる屋台も多くあります。
ソパ・デ・リマ
ソパ・デ・リマは、香り高くほろ苦いユカタン特有の柑橘リマで香りづけした鶏のスープで、揚げたトルティーヤの細切りが入ります。
パヌーチョとサルブーテ
半島で最も人気の軽食二つです。パヌーチョは黒豆を詰めて揚げたトルティーヤ、サルブーテは具を詰めずにふくらませて揚げたトルティーヤです。どちらにも、ほぐした鶏肉か七面鳥、レタス、トマト、アボカド、玉ねぎの酢漬けをのせます。
ポク・チュク、レジェーノ・ネグロ、ケソ・レジェーノ
ポク・チュクは、薄切りの豚肉をダイダイ果汁に漬けて炭火で焼いたもの。レジェーノ・ネグロは、焦がした唐辛子で作るほぼ真っ黒なレカードで七面鳥を煮込み、ひき肉とゆで卵の詰め物を添えた料理です。そしてケソ・レジェーノ――エダム風チーズを丸ごとくり抜いて肉を詰め、二種類のソースをかけたもの――は、ユカタンが何世紀にもわたりカリブ海やヨーロッパと交易してきたことを物語ります。
パパツレスとウエボス・モトゥレーニョス
パパツレスは、ゆで卵を巻いたトルティーヤにカボチャの種とトマトのソースをかけた料理。モトゥルの町で生まれたウエボス・モトゥレーニョスはユカタンを代表する朝食で、トスターダに目玉焼きをのせ、豆、トマトソース、グリーンピース、ハム、揚げた料理用バナナを添えます。
甘いものと飲み物
夜になるとメリダの広場にはマルケシータの屋台が現れます。パリパリのクレープ生地で削ったチーズを巻き、ときにはカヘタ(ヤギ乳のキャラメル)やチョコレートも加えます。飲み物は、グアナバナやピタヤなど南国の果物のアグア・フレスカをどうぞ。
交差点に生まれた料理
ユカタン料理はマヤだけのものではありません。植民地時代から19世紀にかけて、半島は陸路でつながるメキシコシティよりも、海路でキューバ、カリブ海、ニューオーリンズ、ヨーロッパと強く結ばれていました。それは食卓にも表れています。ケソ・レジェーノのオランダ産チーズ、一部の煮込みに入るケッパーやオリーブ、コチニータのトルタに使うフランスパン風のパン。
19世紀末から20世紀初めには、レバノン系の移民も数多くやってきました。彼らはメリダにキビス――屋台や軽食店で売られる小麦と肉のコロッケ――と、アラブのパンやホコケ(水切りヨーグルト)を好む習慣を残しました。今ではキビスはパヌーチョと同じくらいユカタンらしい食べ物で、どの屋台にも並ぶ姿は、この料理がいつも開かれていたことを教えてくれます。
メリダ:市場と旧市街
メリダはユカタンの食の旅の拠点にぴったりです。中心部にある大きな市営市場ルーカス・デ・ガルベス市場では、レカード、ハバネロ、ダイダイ、リマといったユカタンの食材が並び、食堂でコチニータの朝食をとることもできます。隣のサン・ベニート市場には野菜や果物がさらに豊富にそろいます。いちばんにぎわい、出来たての料理が多い早い時間に行きましょう。
週末のメリダ中心部では通りや広場が歩行者天国になり、屋台と音楽でいっぱいになります。一晩でいろいろな軽食を試すのによい機会です。
名物料理のある町
ユカタンの楽しみの一つは、多くの町が料理に名前を残していることです。レンタカーやメリダからの日帰り旅で、その足跡をたどれます。
- モトゥル:ウエボス・モトゥレーニョス。
- バジャドリード:燻製のバジャドリードのソーセージと、トマトソースで煮た豚のロミートス。チチェン・イッツァや周辺のセノーテ(泉)と組み合わせられます。
- ティクル:トルティーヤにフライドチキンをのせトマトソースをかけたポジョ・ティクレーニョ。州南部、プウク街道とウシュマルの近くです。
- イサマル:フランシスコ会の修道院と市場の食堂がある「黄色い町」。
ハナル・ピシャン:ユカタンの死者の日
10月末に旅するなら、マヤ語で「魂の食べ物」を意味するハナル・ピシャンに出会えます。10月31日から11月2日まで行われ、初日は子どもの魂を、二日目は大人の魂を迎え、三日目にすべての魂を送り出します。中心となる料理はムクビポジョ(ピブとも)で、トウモロコシの生地とラードで作った大きなタマルにレカードで味付けした鶏肉と豚肉を詰め、バナナの葉で包んで地中で蒸し焼きにします。最初に窯から出したものは祭壇に供えられます。その時期のメリダでは文化行事も開かれます。
ほかの祭りと合わせてメキシコ食の祭りカレンダーで紹介しています。
いつ行く?何日必要?
11月から3月は暑さがやわらぎ、雨も少なめです。6月から11月は大西洋のハリケーンシーズンで、9月と10月がとくにリスクの高い時期です。旅行ができないわけではありませんが、変更可能な予約にしておくと安心です。メリダとその周辺に4〜5泊すれば、主な料理を味わい、2〜3回の小旅行ができます。
よくある質問
ユカタン料理はとても辛いですか?
料理そのものはたいてい辛くありません。辛さは別添えのハバネロのサルサやシュニペックで、好みで加えます。ハバネロはメキシコでもとくに辛い唐辛子の一つなので、少しずつ試しましょう。
伝統的なコチニータはどこで食べられますか?
市場や、朝にピブから取り出す屋台で、とくに週末です。「ピブで作ったか、オーブンか」を尋ねてみましょう。どちらのやり方もあります。
カンクンやリビエラ・マヤも同じ料理ですか?
半島の食文化は共通していますが、ホテルゾーンの飲食はとても国際的です。ユカタン料理ならメリダと内陸の町へ。
おみやげには何がいい?
日持ちのする赤いレカード(アチオテのペースト)と黒いレカード。家で自家製レカードのコチニータが作れます。
参考資料
- Diario de Yucatán、Por Esto!、ハナル・ピシャンとムクビポジョに関する記事(10月31日〜11月2日、最初のピブを供える習わし)。
- Uno TV「Mucbipollo: cómo preparar el platillo ancestral que da sabor al Día de Muertos en Yucatán」。
- Posta Yucatánおよび旅行ガイドによる、メリダのルーカス・デ・ガルベス市場の紹介。
- ユネスコ「伝統的なメキシコ料理」(2010年)、トウモロコシ、唐辛子、伝統技法について。
- 米国立ハリケーンセンター(NOAA)、大西洋のハリケーンシーズン。
- スペイン語版ウィキペディア「Inmigración libanesa en México」(19世紀末からのユカタンのレバノン系住民)。

Recetas Mexas 創設者
メキシコ・プエブラ出身のITエンジニアで食べることが大好き。世界中の台所で作れるよう工夫した本格メキシコ料理のレシピを1,250品以上執筆。2018年からマドリード在住。
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